【獣医師監修】犬の皮膚病の症状とは?原因と対処法・治療法を徹底解説!

2022年10月13日

犬の皮膚病は、動物病院の受診数が最も多いともいわれるポピュラーな病気です。 愛犬が皮膚病にならないように、またいざというときに適切に対処できるように、犬の皮膚病について理解を深めましょう。 この記事では、犬の皮膚病について、種類・症状・自宅でできる対処法・病院での治療法などを徹底解説します。

犬の皮膚病とはどんな病気?

皮膚病は犬の病気の中でもポピュラーなものになります。犬の皮膚は体毛に覆われており、人間に比べて薄く繊細なため、トラブルを起こしやすいからです。犬の皮膚病の大きな特徴は、原因・種類・症状・回復期間が様々であることです。皮膚のみに限定しているものから何らかの疾患の影響で皮膚に症状が出ているもの・軽症のものから重症のもの・治療ですぐに治るものから生涯にわたって付き合っていかなければならないものなど、実に様々です。

犬の代表的な皮膚病の種類

代表的な犬の皮膚病を紹介します。それぞれについて症状・原因・感染力・かかりやすい犬種などを解説していきますので、犬の皮膚病について理解を深めましょう。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎はダニや花粉等の環境中のアレルゲンに対する過剰免疫反応によって起こります。初期症状として目・口・脇・内股・足先などにかゆみが現れ、患部を掻き壊してしまうことで脱毛や色素沈着が見られるようになります。遺伝的な素因が関係し、柴犬・ウェスティ・シーズーなどの犬種がなりやすいといわれています。アレルギーが原因なので、他の犬にうつることはありません。

膿皮症

膿皮症は皮膚の細菌感染により起こる病気の総称です。主にブドウ球菌が原因菌となりますが、稀に緑膿菌や大腸菌が原因となることもあります。皮膚のバリア機能や免疫機能が低下したタイミングで起こることが多く、かゆみを伴うニキビのような赤い湿疹・黒いかさぶた・脱毛などがみられます。症状は全身で起こりますが、腹部・脇・背中・内もも・手足などに多くみられます。

マラセチア性皮膚炎

マラセチア性皮膚炎は、カビの一種であるマラセチアが原因となる皮膚病です。マラセチアは皮膚の常在菌ですが、免疫力が低下したときや、アトピー性皮膚炎・脂漏症などほかの皮膚炎にかかっているときに、異常繁殖して症状を引き起こします。症状は皮膚のかゆみや赤み・ベタベタしたフケ・独特のにおいなどで、脇・内股・指の間などで起こりやすいです。また、外耳炎として症状が現れることも多くあります。マラセチアは皮脂を餌としているため、シーズー・ウェスティ・アメコカなど皮脂の分泌量が多い犬種は、マラセチア皮膚炎にかかりやすいです。

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症は、皮膚糸状菌というカビが原因となる皮膚病です。菌に触れやすい鼻や足から症状が出ることが多く、皮膚の赤み・脱毛・フケなどがみられます。犬種というよりも、子犬や老犬など免疫力の弱い犬に起こりやすいという特徴があります。皮膚糸状菌は人間にも感染します。人間が感染すると、かゆみを伴う赤い発疹や、円形脱毛症が生じることもあります。愛犬が感染して、自分にもこれらの症状がみられる場合は病院に行きましょう。

毛包虫症(ニキビダニ症)

毛包虫症は、毛穴に寄生する毛包虫(ニキビダニ)が増殖することで引き起こされる皮膚病です。子犬・発情期や免疫抑制剤を服用している成犬・基礎疾患のある老犬など、免疫力が弱い・低下している犬がかかることが多いです。生後18か月齢以内に発症した場合は局所的な発疹やフケなど軽い症状のものが多いですが、生後19か月齢以降になると症状が重くなり毛包炎や痛みなどを生じる事があると言われています。

角化型疥癬(かくかがたかいせん)

角化型疥癬は、ヒゼンダニの寄生により引き起こされる皮膚病です。子犬や免疫抑制剤を服用中の成犬など、皮膚のバリア機能や免疫力の弱い犬に起こりやすいです。激しいかゆみや分厚く硬いフケなどが、耳・ひじ・お腹などに生じます。ヒゼンダニは感染力が強く、多頭飼育で1頭が感染した場合には、他の犬も検査を受ける必要があります。また、人間にも感染することがあるので、愛犬が角化型疥癬と診断され、飼い主さんもかゆみを感じる場合は病院を受診しましょう。

外耳炎

外耳炎は、耳の外耳道や耳介に炎症が起きる病気です。黒・茶・黄色の耳垢や悪臭などが特徴で、頻繁に耳を掻く・頭を振るなど犬の行動からも判断できます。主な原因は、細菌やカビの繁殖・耳ダニなどの寄生・アトピー性皮膚炎・異物混入などです。症状が進行すると中耳や内耳にも炎症が及んでしまうので、早めの受診が肝心になります。レトリーバーやダックスフンドなど垂れ耳の犬種や、テリアやプードルなど外耳道に毛が生えている犬種で起こりやすいので、注意してください。

犬の皮膚病の主な症状

犬の皮膚病の主な症状について解説します。多くの皮膚病は早めに対処することで、重症化や慢性化を防ぐことができます。症状は飼い主さんが目で見て判断できるものばかりなので、普段から愛犬の様子をよく観察し、これらの症状をキャッチできるようにしましょう。

毛が抜ける

犬にはかゆみを我慢するという概念がないため、激しく引っ掻いて毛が抜けることがあります。毛が抜けやすい部位は皮膚病の種類ごとに特徴があり診断の助けになりますが、引っ掻き続けることでさらに皮膚の状態が悪くなってしまいます。脱毛がみられたら早めに病院に連れていきましょう。
画像引用: https://adachi-ah.jp/care-hifu.html
あだち動物病院「皮膚科」

かさぶたやフケが多くなる

皮膚を掻きこわしたあとや、水疱や膿疱のあとにかさぶたができることがあります。また、皮膚に異常が起きているときに、ふけの量が多くなることもあります。かさぶたやフケが多くみられる場合は、かゆみの有無を確認してください。かゆみの有無は、原因となる病気を特定する助けになります。受診の際に獣医師に伝えましょう。
画像引用: https://nanyou-ah.jp/blog/archives/inchou/skindiseasescab
なんよう動物病院「犬の皮膚にかさぶたができる原因・治療法について」

皮膚が脂っぽくなる

皮膚や毛がベタベタと脂っぽくなっている場合は「脂漏症」という皮膚病が疑われます。「犬の代表的な皮膚病の種類」で紹介した通り、脂漏症はマラセチア皮膚炎の原因にもなります。脂漏症には、遺伝的な「原発性」と、何らかの病気により引き起こされる「続発性」とがあります。原発性はシーズー・ウェスティ・アメコカなどの犬種でよくみられ、続発性はアトピー性皮膚炎や内分泌疾患などが原因で起こります。
画像引用: https://adachi-ah.jp/care-hifu.html
あだち動物病院「皮膚科」

かゆみが出る

皮膚にかゆみがある場合は、寄生虫(ヒゼンダニなど)・アレルギー(アトピー性皮膚炎など)・炎症・ストレス・腫瘍(肥満細胞腫や皮膚リンパ腫など)などが原因として考えられます。かゆみが出ている場合、犬は引っ掻く・噛む・舐める・床などに擦り付けるといった行動をとります。

発疹が出る

犬の皮膚病では、皮膚糸状菌症・膿皮症・毛包虫症(ニキビダニ症)などで発疹がみられます。発疹の見た目や大きさは様々で、皮膚が隆起した丘疹(きゅうしん)・中に水が溜まった水疱・膿が溜まった膿疱などがあります。
画像引用: https://adachi-ah.jp/care-hifu.html
あだち動物病院「皮膚科」

犬の皮膚病が良く見られる年齢は?

犬の皮膚病の一部は、特定の年齢で発症しやすくなっています。 生後6ヶ月未満…毛包虫症・皮膚糸状菌症など 1〜3歳…アトピー性皮膚炎・原発性脂漏症など 6歳〜…甲状腺機能低下症・皮膚腫瘍など 愛犬の年齢と症状をあわせて考えることで、ある程度病名を絞り込むことができるわけです。

犬の皮膚病の原因と対処法

犬の皮膚病の原因は様々ですが、生活環境の整備や食事内容の見直しなど、飼い主さん側である程度コントロールできるものもあります。ここでは飼い主さんがコントロールできる皮膚病の原因と、その対処法を紹介します。

体温調節のしやすい環境

犬の皮膚には汗腺がなく、体温調節機能はありません。そのため、暑さが厳しい梅雨時期〜夏には、被毛に覆われた皮膚の温度が高くなり蒸れて、皮膚病の原因となる細菌が増えやすくなります。犬の快適な温度は、室温18〜22℃といわれています。エアコンを活用して、上記の温度に近づけてあげましょう。

乾燥対策

皮膚が乾燥してバリア機能が低下すると、皮膚病を起こしやすくなります。犬の快適な湿度は40〜60%といわれています。乾燥しやすい季節には加湿器を使って、部屋の湿度を40〜60%に近づけましょう。保湿力のあるシャンプーや、保湿ローションなどで皮膚に水分を補ってあげるのもおすすめです。

ストレス対策

犬の中にはストレスを感じると気を紛らわせるために、必要以上に体を舐めたり、しっぽを噛んだりして皮膚炎を起こしてしまう子がいます。ストレスの原因には様々なものがありますが、例えば、お留守番のあとに体がよだれで濡れている場合は、飼い主さんと離れるのが不安で体を舐めているのかもしれません。飼い主さんが在宅中に犬だけで過ごさせる時間をつくって慣れさせる・1匹でも没頭できる知育玩具を用意するなど、犬だけでもストレスを感じないように対策していきましょう。

害虫や寄生虫対策

犬の皮膚病の中には、ノミによるノミアレルギー性皮膚炎・ニキビダニによる毛包虫症・ヒゼンダニによる角化型疥癬など、害虫や寄生虫が原因になっているものがあります。一年中暖かい室内には、季節に関わらずこれらの害虫・寄生虫が生息している可能性があります。スポット薬を使う・部屋の掃除をこまめにする・寝具は定期的に干して乾燥させるなど、害虫・寄生虫を増やさないように対策しましょう。

アレルギー対策

犬のアレルゲンとして一般的なものは、ハウスダスト・ダニ・カビ・食物に含まれるタンパク質などです。こまめに部屋の掃除をしてハウスダストやダニを減らしましょう。食物アレルギーが心配な場合は、タンパク質を小さくしたアレルギー対応フードを与えたり、色々なタンパク質(魚・馬肉・鹿肉など)のフードをローテーションで与えるのも効果的です。

食事の見直し

皮膚のバリア機能を高めるためには、皮膚に必要な栄養をバランスよく摂取することも有効です。皮膚の原材料となるメチオニンやシスチン・皮脂の分泌を調整するビタミンA・炎症を抑えるオメガ3系脂肪酸・フケや皮膚の乾燥を軽減するビオチンなどを、積極的に摂取させましょう。フードに含まれる成分まで確認していられないという場合は、普段のフードに皮膚や被毛のケアができるサプリメントをプラスしても良いでしょう。

スキンケア

犬のスキンケア方法には、ブラッシング・シャンプー・ドッグフード・紫外線対策などがあります。特にシャンプーは、余分な皮脂を落としたり、皮膚の保湿をするのに有効です。ただし、シャンプー剤や頻度によっては逆に皮膚に負担を与えてしまう可能性もあるので、できれば動物病院で相談してから使うことをおすすめします。

犬の皮膚病の治療法は?完治できる?

犬の皮膚病は、治るものと治らないものとに大きくわけられます。犬の体質に関与するものは残念ながら完治が難しいですが、対症療法により苦しい症状は抑えられます。ここでは、犬の皮膚病の治療法について解説していきます。

薬の投与

内服薬・外用薬・注射薬を用いて、症状を抑えたり完治を目指します。抗生物質・抗真菌剤・ステロイドなど、皮膚病の種類に合わせた薬が選択されます。薬は、基本的には動物病院で処方されたものを使います。皮膚に垂らすスポット薬の中には市販のものもありますが、そもそも皮膚病の原因がわかっていないと、そのスポット薬が有効かどうかわかりません。まずは動物病院を受診して、皮膚病の原因を明らかにしましょう。また、人間用の内服薬や塗り薬は、犬が中毒を起こす危険性があるため使わないでください。

薬浴

細菌やマラセチアなどが原因の皮膚病には、薬浴が効果的です。薬用シャンプーを販売していたり、薬浴を治療の一環として行っている動物病院もあります。また、自宅で飼い主さんが薬浴させる場合も、シャンプー剤や頻度について獣医師に確認しておくと安心です。まずは、かかりつけの病院に相談してみましょう。

減感作療法

アレルゲンを少しずつ注射して体を慣れさせていきます。アトピー性皮膚炎の治療はほとんどが症状を抑える対症療法ですが、減感作療法は体質を改善していく唯一の治療法です。ただし、効果の出方には個体差があり、定期的に病院での注射を継続していかなければいけないケースもあります。飼い主さんは、通院に時間をかけられるかよく考えておく必要があります。

トリミング

ブラッシングでフケを落として肌を清潔にすることは、皮膚病の治療としても有効です。また、爪切りにより患部の掻き壊しも予防できます。トリミングは動物病院でも行っていることがあるので、まずはかかりつけの病院に確認してみましょう。

食事療法

食物がアレルゲンとなっている場合には、食事療法が行われます。食物アレルギー用の療法食を与え、症状がおさまるかを観察します。おさまった場合は、今まで食べていたフードに含まれるタンパク質が原因ということになります。ドッグフード工房のフードには、低アレルゲンの馬肉や鹿肉を原料としたものがあり、食物アレルギーの愛犬にもおすすめです。引き続き詳しく紹介していきますので、参考にしてください。

愛犬に優しい無添加フードならドッグフード工房

ドッグフード工房のフードは、新鮮な天然食材を使用し、無添加でつくられています。安心して愛犬に与えることができますね。また、低アレルゲンのタンパク質を使っているものもあり、食物アレルギーによる皮膚トラブルが気になる愛犬にもおすすめです。ドッグフード工房のフードの中でも、特に皮膚トラブルが気になる愛犬におすすめなフードを紹介します。 ・馬肉・鶏肉・野菜畑・鹿肉  主原料:馬肉・鶏肉・鹿肉 馬肉・鶏肉・鹿肉を使ったフードのセットです(「野菜畑」に含まれるタンパク質は鶏肉です)。色々なタンパク質を含むフードをローテーションで与えることは、食物アレルギー対策として有効です。味のバリエーションが増えることで食いつきも良くなりますので、フード選びに迷ったら、まずはこちらのセットをお試しください。 【セット商品ページ】 ・鹿肉  主原料:鹿肉 鹿肉と馬肉を使った、贅沢なフードです。鹿肉と馬肉は一般的なドッグフードにはあまり使われることがないので、食物アレルギーが出てしまった愛犬でも食べられる可能性がありますよ。高タンパク質・低脂肪で、愛犬の体重管理にぴったりなのも嬉しいですね。                                     【鹿肉の商品ページ】 ・鶏肉  主原料:鶏肉 鶏肉を主原料としたフードです。鶏肉には皮膚に良いといわれる脂肪酸が豊富に含まれています。愛犬の皮膚のバリア機能を高め、皮膚病を予防したい飼い主さんにおすすめです。国産ブランド鶏を使用しているので、安心して愛犬に与えられるのもポイントですよ。                                    【鶏肉の商品ページ】 これらのフードを購入するときには、通常価格よりお得に買える定期購入がおすすめです。お届けのタイミングに合わせてつくるので、新鮮なフードを愛犬に食べさせられますよ。気に入らなかった場合は、商品の変更・お休み・解約も可能なので、安心してくださいね。

まとめ

犬は皮膚病にかかりやすく、あなたの愛犬も無縁とは言い切れません。部屋を清潔に保つ・低アレルゲンのごはんを与えるなど、普段から愛犬の皮膚病対策をしておきましょう。犬の皮膚病の症状は、かゆがる・毛が抜ける・フケやかさぶたが増えるなど、飼い主さんの目に見えるものばかりです。普段からブラッシング・耳のケア・シャンプーなどのお手入れを行い、スキンシップをとって、これらの変化を確実にキャッチしましょう。 もし愛犬の皮膚病に気づいたら、早めに動物病院を受診することが肝心です。早めに治療を開始することで、重症化や慢性化を防ぐことができます。皮膚は「最大の臓器」と呼ばれ、愛犬の健康状態を示すバロメータでもあります。たかが皮膚病と軽く考えず、しっかりと向き合っていくことが大切です。この記事が、犬の皮膚病について理解を深め、愛犬を皮膚病から守る助けになれば幸いです。

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