【獣医師監修】犬が吐くのはなぜ?原因や取るべき対応について解説!

2022年7月15日

犬は体の構造上、人間と比べてよく吐くといわれています。そのため、愛犬が吐くシーンに出くわして焦ってしまう飼い主さんは少なくありません。犬が吐く原因は、ドッグフードの食べ過ぎや、病気が潜んでいるなど様々です。 この記事では犬が吐く原因や対応について解説していきます。また、犬が吐いた時にチェックすべきポイントについてもまとめます。 いざという時に冷静に対応するための参考にしてください。

犬の嘔吐って? 

犬の嘔吐は、何らかの原因により脳の「嘔吐中枢」が刺激されることで起こります。犬は人間に比べて吐きやすいといわれますが、これは犬が四足歩行をする動物だからです。二足歩行の人間は重力に逆らって逆流しなければ嘔吐に至りませんが、四足歩行の犬ではその必要がないわけです。犬の嘔吐は、吐く前の行動である程度予測できます。また、吐いた時にチェックしておきたいポイントや対応法もあります。これらについて解説していきます。

嘔吐と吐出って何が違う?

嘔吐とは胃や腸の中のものを吐き出してしまうことをいいます。嘔吐に似た症状として「吐出」というものがありますが、これは胃に入る前のものを吐き出すことです。嘔吐と吐出は、吐き出す前の動作で見分けることができます。 嘔吐では口をくちゃくちゃして吐き気を感じている様子や、「おえっ、おえっ」とえずく様子が見られます。一方、吐出では前触れなく突然吐き出すことが多く、内容物は未消化の食物、水、唾液などが混じったものです。

犬が吐く前に取りやすい行動

犬は吐く前に、以下のような行動を取ることがあります。 ・よだれを垂らす ・そわそわと落ち着きなく動き回る ・舌なめずり(口をくちゃくちゃ)する 愛犬がこのような動作をはじめたら注意深く様子を観察します。そのまま吐いた場合には、今後の対応法を決めるためにいくつかの項目をチェックする必要が出てきます。メモが取れる用意もしておきましょう。チェック項目については引き続きまとめていきますので、参考にしてください。

犬が吐いた時にチェックするべきポイント

犬が吐いた時には、吐いた回数・吐いた内容・吐いた後の様子・嘔吐以外の症状の有無などを確認してください。具体的には以下の7つのポイントについてチェックします。 ・何を吐いた?吐いたものはどんな色をしている? ・何回吐いた? ・食後何分くらいで吐いた? ・吐いた後は元気にしている?いつもと違う様子はない? ・吐いた後は食欲がある? ・下痢をしていない? ・異物や中毒性物質を食べた可能性はない? これらのポイントは、家で様子を見るか病院を受診するかを判断する助けになります。また、病院を受診した際に問診されることが多い項目でもあります。メモを取るなどして、しっかりとチェックしておきましょう。

犬が吐いたものや色を確認! 

犬が吐いた時にチェックするポイントの中でも特に押さえておきたいのが、「何を吐いた?吐いたものはどんな色をしている?」です。吐いたものや色から考えられる原因や予防策について引き続きまとめていきます。

透明の液体や白い泡を吐いた場合

吐いたものが透明の液体の場合は水を、ネバネバする白い泡の場合は胃液を吐いていることが多いです。いずれも基礎疾患がない健康な愛犬でも、胃が刺激されることにより起こる可能性があります。 透明な水を吐いてしまうのは、一気飲みが原因です。特に夏場やお散歩後などの喉が渇いている時は一気飲みしやすいので、水は少量ずつ何回かに分けて与えるようにしましょう。白い泡状の胃液を吐いてしまう原因としては、空腹であることが考えられます。食事の回数を増やし、お腹が空っぽになる時間を作らないようにコントロールすることが大切です。また、緊張や興奮を感じた時に泡を吐くケースもあります。ストレス源はできるだけ取り除いてあげましょう。

黄色い液体を吐いた場合

吐いた液体が黄色い場合には、胆汁の可能性があります。これは「胆汁嘔吐症候群」と呼ばれる症状で、胃が空っぽの状態が長時間続いて胆汁が胃に逆流することで起こります。寝起きや夕方など食事の時間が空く時間帯に起こりやすいという特徴があります。胆汁嘔吐症候群は、食事時間をずらしたり、少量の間食をさせたりすることで予防できることがほとんどです。ただし、空腹時の嘔吐が必ずこの疾患によるものとは限らないので、症状が続いたり元気がなかったりする場合には病院に連れていきましょう。

茶色いものを吐いた場合

茶色いものの正体としては、フードと古い血の2つの可能性が考えられます。吐いたものがドロドロとしていてドッグフードのにおいがする場合には、フードがうまく消化されずに出てきている可能性が高いです。 一方、フードが消化されていて液状になっている場合や強い刺激臭がする場合は、古い血が混じっている可能性があります。胃腸炎や胃潰瘍による出血が疑われるので、早急に病院を受診してください。

赤色のものを吐いた場合

赤いものの正体は鮮血で、出血していることを意味します。何らかの病気により食道・胃などから出血していることが予想されます。また、先のとがったおもちゃなどを咥えて、口の中を怪我しているケースも考えられます。いずれにせよ、愛犬の体に異常が起きているサインととらえ、早急に病院に連れていくことが必要です。口の中を怪我していると診断された場合には、危険なおもちゃがないかなど、点検を行いましょう。

異物が混じっている場合

吐いたものにおもちゃの一部など異物が混じっている場合は、要注意です。異物が全部吐ききれずに体内に残っていると、腸閉塞を引き起こす危険性があります。タバコなど飲み込んだものによっては中毒症状を起こすかもしれません。また、吐き出す時に消化器官を傷つけている可能性も考えられます。異物誤飲は愛犬の命に関わることもあるので、吐いてしまったから大丈夫だろうと安易に考えず、早急に病院を受診することが大切です。愛犬の危険になるものはないか、生活環境の見直しもしていきましょう。

フードをたくさん食べて吐く

食いしん坊の愛犬の中には、フードをガツガツとたくさん食べたあとに、すぐに吐いてしまう子がいます。また、吐き出したものをもう一度食べることもあります。吐いた後も元気にしているようなら、特に心配することはありません。

白い泡や黄色の液体を吐いたが、元気や食欲はある

ネバネバの白い泡や黄色の液体を吐いた後は、愛犬の様子をよく観察します。元気にしていて食欲がある場合は、空腹により胃液や胆汁が逆流したと考えられます。一方、白い泡を吐いた後元気がない場合は、空腹以外の原因がある可能性もあるのでかかりつけの獣医師へ相談してみましょう。

草を食べて吐いた後、元気で食欲がある

犬は、散歩中などに草を食べて吐くことがよくあります。草を食べる理由としては、胃腸の調子が悪く胸焼けしている時に胃酸を吐き出すためや、毛玉を飲み込んでしまった時に吐き出すためと考えられています。体に不要なものを吐き出しているだけなので、吐いた後に元気や食欲がある場合はそのまま様子を見て大丈夫です。

すぐに動物病院へ行く必要がある吐き方

犬の嘔吐の中には、重篤な病気が原因となっていて、すぐに病院に連れていくべきケースもあります。引き続き、病気が潜んでいる可能性があり、すぐに病院へ連れていくべき吐き方について解説していきます。参考にしてください。

一過性の嘔吐だが、大好物のおやつでさえ食べない時

繰り返し吐くことがなくても、吐いた後に食欲がなく大好きなおやつさえ食べない時は要注意です。消化器系の病気や、その他の重篤な病気が潜んでいるかもしれません。特に、体力の少ない子犬や高齢犬では、食べないことで急激に衰弱してしまうケースも考えられるので、様子見はせずすぐに病院へ連れていきましょう。

繰り返し吐く

繰り返し何度も吐く時は、消化器系の病気・ウイルス性感染症・異物や中毒性物質の摂取などが疑われます。これらが原因である場合、家で様子を見ていても良くなることはありません。また、嘔吐を繰り返すたびに脱水も進んで愛犬がますます弱ってしまいます。すぐに病院に連れて行ってください。

腹痛を伴っている

腹痛を伴っている時には、膵炎や重篤な胃腸炎を起こしている可能性があります。適切な治療が必要になるので、早急に病院へ連れて行ってあげましょう。腹痛のサインとしては、背中を丸めてお腹を守るような姿勢をとる・お腹をしきりに舐める・ウロウロと落ち着きなく動き回るなどがあげられます。嘔吐に伴ってこれらの行動が見られないか注意深く観察してください。

嘔吐物に血が混じっている

嘔吐物に鮮血が混じっていると赤く、古い血が混じっていると茶色くなります。これらの色の変化を見逃さないように、嘔吐物は注意深く観察しましょう。嘔吐物に血が混じっている原因としては、何らかの病気により内臓から出血していることが考えられます。また、先のとがった異物を口に咥えたり飲み込んでしまっていたりする可能性もあります。いずれにしても、一度病院を受診して、原因の特定と適切な治療をしてもらうことが大切です。

嘔吐物に異物が混じっている

おもちゃの破片やヘアゴムなど、嘔吐物に異物が混じっている時は病院に連れて行ってください。吐ききれずに異物が体内に残っているケースやタバコなどの中毒性物質を誤飲しているケースでは、命に関わる危険性があります。病院から帰ってきたら、部屋に愛犬が誤飲する可能性のある物を置いていないか今一度確認しましょう。

嘔吐物が便の臭いがする

嘔吐物から便の臭いがする場合は、腸閉塞を起こしている可能性があります。腸閉塞は、誤飲や腫瘍などの原因により、細い腸が詰まったり捻れたりする病気です。腸まで進んでいった食べ物が逆流するため、嘔吐物から便の臭いがします。病院での治療が必要になるので、早急に連れて行ってあげてください。

下痢、発熱、痙攣など、ほかの症状を伴う

嘔吐に伴って下痢・発熱・痙攣・意識混濁などが起きる時は、極めて緊急性が高いと考えてください。何らかの重篤な病気・異物誤飲・中毒性物質誤飲などを起こしている可能性があり、愛犬の命に関わるかもしれません。家で対処できるものではないと判断し、早急に病院に連れて行くことが大切です。

吐く原因となる病気

愛犬をすぐに病院に連れていく必要がある吐き方について解説してきましたが、そのような吐き方をする背景には何らかの病気が潜んでいる可能性が考えられます。引き続き、吐く原因となる病気について具体的な病名や注意点などを解説していきます。

食事の問題

犬が吐く原因として一番多いのは食事の問題です。勢いよくたくさん食べて吐き出してしまう場合は、特に問題がないことがほとんどです。しかし、フードを切り替えたタイミングで吐いた場合は、急な切り替えで体がびっくりしてしまったり、痒みがあったりする場合などは新しいフードに含まれている成分に反応して食物アレルギーを起こしている可能性があります。かかりつけの獣医師様に相談しましょう。

胃内の問題

胃炎・胃潰瘍・腫瘍・胃捻転・胃拡張など、胃に何らかの病気を抱えている時に吐くことがあります。胃炎では嘔吐と同時に下痢が起こることもあります。胃捻転や胃拡張では、吐きたそうにしているのに吐けない・お腹が張っている・ぐったりしているなどの症状が見られます。特に、胸の深い大型犬で起こることが多く、緊急性の高い疾患となりますので、自宅で症状のみで判断することは難しく、このような症状がみられた場合はすぐにかかりつけの獣医師様へご相談ください。※大型犬の飼い主さんは症状を頭に入れておきましょう。

小腸の問題

慢性腸炎・腸捻転・ウイルス感染・誤飲による異物など、小腸に問題を抱えている時に吐くことがあります。慢性腸炎では、嘔吐の他に下痢・脱水・体重減少などが見られることも多く、小腸から出血している場合には便の色が黒っぽくなることもあります。感染している場合は、嘔吐とともに激しい下痢や発熱を起こし、命に関わる重篤な状態になる危険性があります。また、誤飲による異物で腸閉塞が起きた場合には、緊急手術が必要です。

腹腔内の問題

膵炎・腹膜炎・腫瘍など、腹腔内に問題がある時にも吐くことがあります。特に膵炎を起こしている場合は、嘔吐以外にも発熱・元気や食欲の低下・腹痛・脱水・浅く速い呼吸などの症状を示します。重症の場合は呼吸困難やショック症状を起こすこともあるので、早めの受診が肝心です。Mシュナウザーなどで発症しやすいといわれていますが、脂質の取りすぎや肥満などが危険因子となりどの犬種でも患うリスクがあります。

その他

腎不全・肝不全などの疾患に伴って吐くことがあります。特に腎不全はシニア犬の死亡原因の3位とも言われており愛犬にも無関係とはいえません。水をたくさん飲む・おしっこの量が多い・下痢をしているなど嘔吐以外にも症状が見られる場合は病院に連れて行きましょう。

薬物や中毒性物質

殺虫剤や農薬などの薬物や、ネギ類・チョコレート・一部の観葉植物などの中毒性物質を誤飲したことが原因で吐くことがあります。嘔吐とともに呼吸困難・痙攣・意識混濁など重篤な症状が起こることも多いので、これらを口にしないよう環境を整えることが必要です。

ウイルス性感染症

犬パルボウイルス感染症・犬コロナウイルス性腸炎など、ウイルス感染が原因で吐くことがあります。激しい嘔吐とともに下痢や発熱を生じることが多く、免疫力のない子犬が感染した場合は重篤となることもあるため注意が必要です。これらのウイルスはワクチン接種により予防できるので、しっかりと受けさせておきましょう。

まとめ

犬は健康な状態でも吐きやすい動物ですが、嘔吐の背景には病気が潜んでいることもあり、注意するに越したことはありません。愛犬の病気予防のために飼い主さんができることの一つとして「食事内容の見直し」があげられます。ドッグフード工房の手がけるフードは、天然素材を使用し腸内環境に優しいものばかり。愛犬の日々の健康に役立ちます。 また、アレルゲンになりにくいといわれる馬肉を使用したフードもあり、食物アレルギーによる嘔吐の可能性を減らすこともできます。愛犬の健康を維持し、嘔吐を防ぐために、ドッグフード工房のフードを利用してみてはいかがでしょうか?
ドッグフード工房公式サイト

この記事が、愛犬の健康を維持・促進する参考になれば幸いです。