犬のしつけってどうやるの?押さえたいポイントとやってはいけないNG行動まで解説!
2022年7月13日
犬を初めてお迎えした場合、犬のしつけについてどうしていいのかわからない…と悩む飼い主さんは多いと思います。
しつけといっても何を教えればいいのか、何歳から教えればいいのか、初めての犬の飼育ではわからないことだらけですよね。
しかし、犬のしつけは人間と犬が共に暮らしていくためにはとても大切で避けられないことです。
そこでこの記事では、犬のしつけの必要性や適切な時期、押さえておきたいしつけのポイントなどを詳しくご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
犬のしつけはなぜ必要?
犬をお迎えするにあたり、犬のしつけはとても大切です。犬のしつけとは、犬に家庭犬としてのルールやマナーを教えることです。そして、飼い主(家族)との間に適切な社会関係を築き、飼い主が常に犬をコントロールできるようにしつけていくのが重要になってきます。
なぜなら、家庭犬としてのルールやマナーを学び、飼い主が犬をきちんとコントロールできることで、ご自身の愛犬が他の犬や猫などの動物、さらに見知らぬ人に出会っても怯えることもなく、無駄吠えなど威嚇することもなければ、平和的かつ友好的に周りの動物や人間と共存していくことが可能です。これがもし周りの動物や人間に威嚇や攻撃するような凶暴な姿になってしまったらどうでしょうか。残念ながら共存していくのは難しくなってきます。
このように、犬のしつけは人間と犬が幸せに暮らしていけるように、ひいては犬を守るためにとても必要なことになってきます。
犬のしつけに適切な時期
犬はもともと群れで生活していた習性があり、高い社会性を持つ動物と言われています。犬は、他の犬とはもちろん人間と生活していく場合、飼い主をはじめとした人間社会において、適切な社会行動を身につける必要があり、そのために大切になってくるのが社会化です。犬の社会化とは主に、飼い主や他の動物との関係を学んだり、生活音や屋外の刺激に慣れさせたり、リードやキャリーケースに慣れてもらったりと、今後の生活に必要なしつけの基礎を学ぶことを指します。そして、社会化には適した時期があり、それを社会化期と呼び、犬の社会化期は生後3週齢(21日)から生後16週齢(112日)と言われています。
このうち6〜8週齢前後までは親や生まれたきょうだいたちとの関係を学んでいき、犬同士のコミュニケーションを学んでいきます。生後8週齢以降の社会化期後半になると、人間を含めた他の生き物との社会化が促進しやすいと言われています。また、生後16週齢までに人との接触がなかった犬は将来的に人を恐れるようになると知られています。そのため、生後3〜16週齢までに親やきょうだい、人間や他の生き物との接触を多く体験させることが、しつけの基礎を作るうえでとても重要です。
例えば、いろいろな人間に出会うチャンスを与え人に慣れてもらったり、ワクチン接種が済んでいなければ感染症のリスクも考慮しつつ、抱っこなどで短時間の散歩をし、車やバイクの音など外の刺激に慣れさせるなど、さまざまな体験を犬にさせてあげてください。
押さえておきたいしつけのポイント・注意点
アイコンタクトできるようにしつける
犬が飼い主に注目している行為が「アイコンタクト」です。アイコンタクトはしつけの基本となるもので、とても大切なものになります。アイコンタクトを覚えていれば、人間が犬に何かを教える時も、注目してくれることで指示が出しやすくなります。
例えば、犬が上の空だったり、他の犬に気を取られたりしている時に指示を出す場合と、飼い主をじっと見つめて注目している時に指示を出す場合。どの状態で犬がきちんと指示を聞いてくれるでしょうか。それはもちろん、後者の犬が飼い主に注目している時になります。そのため、散歩中に他の犬や人間ともしトラブルが起こったとしても、アイコンタクトをマスターしている犬なら指示を聞きやすくなります。また、新しく何かをしつけとして教えたい時も、飼い主に注目させておくことで覚えるのが早くなります。
ポイント・注意点
アイコンタクトを犬に覚えてもらう時のポイントと注意点ですが、アイコンタクト以外にも全てのしつけに共通して言えることは「飼い主のいうことをきくと良いことがある」と犬に覚えてもらうことです。注意点としては、なかなかできないからといって犬を叱らないことです。できたことを褒めるようにしましょう。アイコンタクトの場合は「飼い主の顔を見たら良いことがある」と教えておきます。順番として、最初はご褒美としておやつを手で持ち、その手を自分(飼い主)の顎の下に持ってきます。次にその状態で犬の名前を呼び、犬が飼い主の顔を見たらたくさん褒めてご褒美のおやつをあげましょう。
アイコンタクトの練習の際は、上から愛犬を見下ろすのではなく、しゃがんだ状態で愛犬との目の高さをなるべく合わせるようにしましょう。それに慣れてきたら、名前を呼ばなくてもアイコンタクトしてくれるように、また、目が合う時間もだんだん伸ばしていき、最終的には名前を呼ばなくても、ご褒美がなくても、犬がいつも飼い主に注目してくれるようにしつけていきましょう。
触られることに慣れさせる
全身どこでも触らせてくれるようにしておくことは、犬が人間と生活していくうえで欠かせません。体に触られるのに犬が慣れていれば、犬を抱っこしたり、ブラッシングや爪切り、耳掃除、歯磨き、シャンプーなどの日常のお手入れもしやすくなりますし、毎日の散歩の後の足拭きなどもスムーズにおこなえます。さらに、ボディタッチを通して健康チェックもできるので、病気の早期発見にも繋がります。獣医師の診察を受けるのも、体に触られるのに慣れていると診察もスムーズに進みます。
また、散歩中に知らない人が犬を撫でようと手を出してくる可能性もあります。体に触られることに慣れていれば、犬が相手を威嚇して吠える、噛むなどの行為も予防することができます。逆に、慣れていないと相手に怪我を負わせてしまうかもしれません。このように、触られることに慣れさせることは、人間と共存する犬にとって非常に大切なことなのです。
ポイント・注意点
触れられることに犬を慣れさせたいからといって、むやみやたらに触っていいわけではありません。犬の体の上から覆いかぶさるようにしたり、頭を急に触るようなことはNG。自分より大きな相手に覆い被されるようにこられたら、犬が恐怖心を抱いてしまうのは当然です。まず体の側面に座り、寄り添うようにして様子をみましょう。そのまま優しく話しかけながら、ゆるく拳を握り、犬の鼻の近くに近づけてください。犬が拳のにおいを嗅いでくれたら、優しく顎の下を撫でてあげましょう。顎や首、また背中のような撫でやすい部分で犬が慣れてきたら、足を触る練習をしてみましょう。
おとなしく触らせてくれたらおやつなどのご褒美を与えてください。
また、嫌がりやすい耳や顔まわりに触られるのも慣れさせておきましょう。耳は触るだけでなく、においを嗅がれるのも慣れさせておくと、耳の病気の早期発見にも繋がります。顔まわりも目の周りは涙やけを予防するためにティッシュで拭き取ることにも慣れさせておきましょう。難しい場合は、顔にティッシュをあてたらご褒美をあげるのを何度か繰り返して「目の近くにティッシュがあたる=良いこと」と、犬に覚えさせるようにしてあげてください。また、犬に触れようとする時に大きい声や低い声を出すのもNG。威嚇されていると勘違いしてしまうため、なるべく高めの優しい声で話しかけながら触るようにしてください。
トイレの場所やルールを教える
犬をお迎えしたその日から始めたい、最も重要なしつけのひとつがトイレのしつけです。室内飼いをしている場合は特に、家のあちらこちらに粗相をしてもらっては、とても困りますし、衛生環境も悪化してきますよね。トイレトレーニングをすることによって、室内が汚れるのも防ぐことができますし、嵐のような荒天や病気のときにトイレのためだけに外出しなくてもすみます。また、犬がシニア期に入り、介護が必要になったときも、室内で排泄できるようにトレーニングしていると安心です。さらに、トイレトレーニングをすることにより、ドッグカフェやドッグランなどの軽い外出はもちろん、旅行なども愛犬と一緒に行くことができるようになり、愛犬との生活の楽しみが一気に広がります。このように、犬にトイレの場所やルールを教えることは、飼い主にとっても犬にとっても大切なしつけのひとつになってきます。
ポイント・注意点
犬は元々、自分の寝床から遠い場所で排泄をする習性を持っています。これは、自分の寝床を汚さず、他の動物や天敵に自分の居場所を見つけられないようにするためです。そのため、室内の一か所で排泄をしてもらうためには訓練が必要になってきます。
トイレのトレーニングではまず、ペットシーツを敷き詰めたサークルを用意し、犬の排泄しやすいタイミングでそのサークル内に誘導します。犬が排泄しやすいタイミングは、食事を済ませたあとや、遊びのあと、寝起き、などです。 また、排泄前には床のにおいを嗅ぎながらウロウロするような仕草が良く見られます。サークル内で排泄ができたら必ず褒めてあげましょう。おやつを与えるのも効果的です。「トイレで排泄ができる=楽しいこと」ということを犬に覚えさせてください。もし粗相をしてしまった場合も決して叱らずに、ニオイが残らないように静かに後始末をします。叱ってしまった場合「排泄をする=怒られる」と覚えてしまい、飼い主の目の届かない場所で隠れて排泄をするようになってしまう場合もあります。サークル内でしてくれるようになったら、サークルを取り、トイレトレーにシーツを敷いた状態のものに移行していきましょう。トイレのしつけは一朝一夕では終わりません。愛犬と根気よく向き合って教えていくことがポイントになってきます。
飼い主の許可がないと食事してはいけないことを教える
飼い主の許可がないと食事をしてはいけないことを教えるのは、犬にとっても非常に大切なしつけになります。例えば、犬が自分の意思で自由に食事をするようになったらどうでしょうか。散歩中に落ちているものを誤って食べてしまったり、飼い主が目を離したすきに食卓の人間の食べ物を勝手に食べてしまうこともあります。人間の食べ物は犬にとっては塩分が多く、脂っこい高カロリーのものが多いため、膵炎や肥満の原因になってしまいます。肥満は人間同様、犬にとっても万病の元。犬の健康管理には食事の塩分やカロリーの管理もとても重要です。
また、ネギ類やチョコレート、キシリトールなど、食べてしまったら即命に関わるような食品を誤って食べてしまい、悲しい事故につながる可能性もあります。このように、犬の健康と安全のためにも、食べるときは飼い主の許可が必要だということを犬に覚えさせるように教えるようにしてください。
ポイント・注意点
犬の食事のしつけで一番重要なことは、犬にごはんやおやつをねだられても与えない、ということです。決まった時間に食事を与えている場合も、犬は「この時間に催促をすればごはんがもらえる」と勘違いしてしまいます。また、決まった時間に与えていると急な予定の変更などでいつもの時間にご飯をあげられない際にワンちゃんがストレスを感じてしまうことがあります。日によって食事を与える時間に変化をつけるのも効果的です。
また、以前は頻繁に見られていた食事前の「マテ」のしつけですが、近年では食事の際のマテのしつけが見直されてきています。しつこく合図をしたり、長時間待たせる必要はありません。犬が自分の意思できちんということを聞いてくれたらすぐに「ヨシ」や「OK」など、許可の言葉とともにごはんを与えてOKです。おすわりができたら「すぐに」というのがポイント。長時間待たせることは犬のストレスになります。
噛んでよいものと悪いものを教える
噛み癖のしつけも、犬のしつけで大切な項目のひとつです。噛んでいいものと悪いことを教えることによって、思わぬ怪我や、誤飲などの事故を防ぐことができます。本来、社会化期に親やきょうだいの犬と一緒に過ごすことで、どのぐらいの力で噛んだら相手が嫌がるか、また自分が噛まれることで「噛まれることは痛いことだ」と学びます。この社会化期の学びが浅いままだと、噛む力加減がわからずに成長してしまう場合があります。さらに、子犬の頃は大した痛みではないからとしつけをせずに放置しておくと、成犬になったときにはとても強い力になり、飼い主や周りの人への怪我に繋がる場合があります。また、なんでもかんでも噛むことを許していると、成犬になった際に家具などを破壊する行為にも繋がりますし、コードを噛んでしまった場合、感電のような怪我にも繋がります。破片などを誤飲してしまう可能性もあるので大変危険です。このように、犬が小さい頃から、噛んでいいものと悪いものを教え、噛み癖をなくしていくことは犬のためにも飼い主のためにもとても大切です。
ポイント・注意点
まず、飼い主を噛むようなら「痛い」などの意思表示をして、犬が噛む行為をしつける必要があります。この際、違う言葉で指示が出ると犬も迷ってしまいますので指示する言葉は家族で共通の言葉を使用しましょう。犬が噛んできたら「痛い」と静かに意思を示し、遊ぶのをやめたり、部屋から退出するなどして「人を噛むと楽しいことがなくなる」と覚えさせるようにします。また、ものを噛む場合は、噛んでいいおもちゃを差し出し、噛んでいいおもちゃを噛んだときに褒めたりご褒美をあげて「このおもちゃを噛むと褒めてもらえる」と覚えさせ、噛んでよいものと悪いものを教えてあげましょう。
犬の噛み癖をしつけるときにやってはいけないことは、感情のままに叱ったり、体罰を与えることです。こうすることで犬は恐怖心を覚えてしまい、さらに行動がエスカレートしてしまう場合があります。「痛い」「いけない」「ダメ」など、冷静に対処するようにしましょう。
周囲のものに慣れさせる社会化トレーニング
犬が人間と一緒に暮らしていくうえで、飼い主以外の人間に慣れたり、周囲のさまざまな環境に慣れさせるのは重要で、犬や人間社会で生きていくのに必要なことを犬が学ぶことを「社会化」といいます。例えば、飼い主以外の人間に慣れていない、所謂人見知りに育ってしまった場合、動物病院やトリミングサロン、ペットホテルに預けるときなど、犬が恐怖心を抱いてしまったり、ストレスをためてしまうことがあります。家に人を招いたときや、散歩中に見知らぬ人に威嚇してしまうこともあるかもしれません。
また、例えば外の車の音やバイクの音、近くを通る自転車など、周囲のさまざまな環境に慣れていないと、外出するのを嫌がり散歩もできないため、運動不足などからくる健康管理も難しくなってくる可能性も出てきます。その他、リードやキャリーに入るのに慣れさせておくのも社会化のひとつ。散歩や旅行、通院はもちろん、災害が起こったときの急な避難にすぐ対応できるように、普段から慣れておくのはとても大切です。
ポイント・注意点
「犬のしつけに適切な時期」の項目でもご紹介しましたが、犬の社会化の時期に適した社会化期は生後3週齢〜生後16週齢と、とても短い期間になります。この期間に体験したことが、その犬の生涯の性格として深く関わってくると言われています。社会化トレーニングは早めに始めることが大切ですが、この時期を過ぎてしまっても、時間をかけてじっくり楽しい経験を積み重ねることで、社会性のあるワンちゃんになってもらうことが出来ます。
動物愛護法の改正により、現在はペットショップなどでの犬や猫の販売を生後56日(8週間)まで原則禁止となっているため、犬をお迎えする前に社会化期のことをきちんと理解しておく必要があります。子犬をお迎えしたら生後16週齢までの間に家族以外の人間や宅配便などの訪問者、掃除機や洗濯機などの家での騒音、16週ではワクチン接種が完了していませんので、感染症に注意しながら抱っこなどで外出し、外の光景や騒音に慣らすようにしましょう。注意するポイントとして、生後5週齢〜10週齢は未知の刺激に警戒する恐怖期も同時に迎えます。この時期に体験した恐怖を感じる悪い経験は、生涯に渡ってトラウマになる可能性がありますので、外の刺激に慣れさせるためと、怖がっているものを無理強いしないようにしてください。
寝る場所を教えるハウストレーニング
トイレのトレーニング同様、お迎え初日からしておきたいのがハウストレーニング(クレートトレーニング)です。 犬は本来、狭くて暗い場所を寝床として好み、逆に広々とした場所で眠るのを好みません。そのため、クレート(ハウス)を寝床として用意してあげるのがおすすめです。クレートを寝床としておすすめする理由として、普段から落ち着く場所として教えておくことによって、通院や公共交通機関での移動、災害時の避難など、クレートに入るのが必要なときに難なく入ってもらえるようになるからです。避難時も安心できる場所として認識しているクレートにいることで、犬自身の心のケアにもつながります。通院や災害はいつタイミングがくるかわかりません。なるべく早いうち、できればお迎えした初日からハウストレーニングをして、普段から慣れさせておくことをおすすめします。
ポイント・注意点
ハウストレーニングをする際、クレート(ハウス)に入るのに抵抗がある犬の場合、少しずつ段階を経て練習していくのがポイントです。まず、上部を外したクレートを用意し「ハウス」と声をかけながらご褒美のおやつを持った手でクレートに誘導します。中に入ったらご褒美を与えて褒めてあげるのを繰り返します。慣れてきたらクレートの上部半分だけをつけた状態にして「ハウス」で誘導し、できたらご褒美を与えて褒めてあげましょう。
上部が半分の状態に慣れたら、上部をすべて覆い「ハウス」で中に誘導します。さらに慣れてきたら、扉を閉めて、最初は短時間から、少しずつ扉を占めている時間を長くしていきましょう。段階を踏むごとにご褒美と褒めることを必ずするようにしましょう。
大切なのは「できたら褒めてあげる」こと
犬のしつけで大切なのは望ましい行動を飼い主が引き出し、その行動ができたときに犬を褒めてあげることが最も大切なことになってきます。行動ができたときに犬を褒めることは「その行動を行うと褒めてもらえる」と、ポジティブに犬に作用し、将来的に起こる行動の頻度も高まり、確実性が増してきます。また、褒めることで犬の自発的な行動の強化にもなります。
人間で例えたらわかりやすいかもしれません。例えば、仕事が上手くいかない時に上司に「ダメだ!」「やるな!」ばかり言われていたら、次に行動を起こすのが難しくなってくるでしょう。逆に褒めてくれる上司の場合、次の行動が取りやすくなるのではないでしょうか。犬も褒めることで正しい行動を自発的にしてくれるようになります。また、褒めるという行為は、犬自身も嬉しいため、指示の号令を聞くだけで嬉しい気持ちになりますし、飼い主や家族との関係が崩れることもありません。このように、犬が喜んで飼い主の指示に従うように、褒めることを主体とした犬のしつけを心がけていきましょう。
飼育環境を整えよう!
犬をお迎えするうえで大事なことは、犬にとって快適で安全な飼育環境を飼い主が整えることです。2019年の一般社団法人ペットフード協会の調査によると、9割以上の家庭では「犬は室内飼育(室内・屋外半々含む)」となっており、家の中の環境を整えるのは重要です。特に、初めて人間と一緒に生活する子犬の場合、すべてが初めて見るもので、何が安全で何が危険なのか全くわからない状態です。そのため「かじったり首に巻き付けたりすると危険な電気コード類はカバーなどで隠す」「中毒性のある観葉植物は置かない」「誤飲をするような小さいものは片付ける」などの対策をしておきましょう。環境を整えていく際、愛犬の目線の高さで考えるのがとても大切です。人間の目線では危険と思わないようなものも(例えば、ローテーブルからの落下物)怪我の原因につながる場合があります。「大丈夫だろう」はまだ不完全。「絶対安全」と思えるような環境を作っていくように心がけましょう。
気になる健康管理について
犬をお迎えしたら、なるべく早めに動物病院で健康診断を受けるようにしてください。受診することで、思わぬ病気の早期発見ができることがあります。「ペットショップで検査を受けているから安全」とは思わず、どの状況から犬をお迎えしたとしても、必ず健康診断は受けるようにしましょう。また、感染症を予防するためのワクチン接種もとても重要です。犬の感染症の中では、一度感染すると治療が困難で命に関わる病気が少なくありません。
狂犬病の予防接種は狂犬病予防法で生後91日以降の犬ではワクチン1回目を摂取し、以降年に1回の摂取が義務付けられています。ですが、近年国内の狂犬病の発生率がゼロなのもあり、2020年の厚生労働省のデータで犬の登録件数の7割程度しか狂犬病予防ワクチンを摂取していないことがわかりました。狂犬病は人間に感染するとほぼ致死率100%の恐ろしい病気です。近年では日本国内で外国籍の人間が狂犬病で死亡したニュースもありました。日本で狂犬病の発生率がゼロなのは、今までの高いワクチン接種率があってこそのことなのです。狂犬病の他に、犬ジステンバー、犬アデノウイルス1型感染症、犬アデノウイルス2型感染症、犬パラインフルエンザ感染症、犬パルボウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症、レプトスピラ症などの感染症をワクチンで予防することができます。
また、フィラリアの予防薬、ノミダニの予防なども忘れてはいけません。このように、ワクチンや予防薬の摂取は、犬の管理としてはもちろん、人間の健康にも大きく関わってきます。そして、犬の健康管理で重要なのは普段からのスキンシップです。毎日スキンシップをし、よく観察している飼い主なら、どんな小さな変化も「いつもと様子が違う」と感じ取れるはず。小さな変化だからといって見過ごさず、些細なことでも獣医師に相談しましょう。そうすることで、病気の早期発見に繋がり、犬の寿命が伸びることにも繋がります。
とってはいけないNG行動
犬をしつけする際、とってはいけないNG行動としてあげられるのが「怒る・叱ること」と「途中でルールを変えること」です。犬を怒ったり叩いたりしたらどうなるのでしょうか。まず、犬が望ましい行動ができなかったときに、犬を怒ったり叱ってしまうことですが、怒ったり叱ったりのような罰を与える場合、直ちに罰しなくては意味がなく、遅れてしまうと罰は罰の意味を持たなくなります。毎回同じタイミングで同じ罰を行う必要があるのです。
また、罰を与える事により、飼い主との信頼関係を失ってしまうこともあります。犬が怯えない強度の罰を毎回正確に与えるというのは、とても高度なスキルになってきます。さらに、不適切な行動をした場合、その行動全てに罰を与えないと、犬は逆に怒られなかったタイミングで「これはOKなんだ」と学習してしまい、不適切な行動の強化に繋がってしまうことになります。そして、叱ることと同時に「叩く」などの身体的な罰を与え続けると、それが原因で傷害を追ってしまう可能性もあります。
犬が怒られることへの恐怖により、飼い主に対して攻撃的になったりすることもあり、褒めるしつけに比べ、怒るしつけはデメリットが非常に多いしつけ方法になってきます。次に、途中でルールを変えることに関してですが、途中でルールを変更することにより、犬が混乱してしまいます。
例えば、子犬をお迎えしたばかりの頃は、可愛さも相まって、何をしても褒めていたのに、成犬になってから同じ行為をして叱られてしまった場合、犬は混乱してしまいますし、飼い主との信頼関係も崩れてしまいます。犬をお迎えすると決めたときから、家族間で何がOKでなにがNGなのかをしっかり共有し、子犬〜成犬まで一貫してルールを統一することで、犬も混乱しないで済みますし、飼い主との絆もしっかりとしたものになります。もしどうしてもルールを変更したい場合、一気に変えるのではなく、犬が混乱しないように段階を踏んで、新しいルールができたら「褒める」を繰り返して変更するようにしてください。
まとめ
今回は、犬のしつけの必要性や、押さえたいポイントとやってはいけないNG行動などをご紹介してきました。犬のしつけは、犬が人間と共存していくためには切っても切り離すことができません。家族や周囲との関係を良好にすることは、愛犬自身の幸せにも繋がってきます。
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