【獣医師監修】犬にダニ(マダニ)を見つけたら?咬まれた場合の症状や対処法も!

2025年11月5日

犬の体にダニが付いているのを見つけたら、どのように対処すればよいのでしょうか。
本記事では、犬がダニに咬まれたときの症状や気を付けたい病気、予防する方法についてご紹介します。

犬にダニが付いたらどうすればいい?

ダニは、私たちが普段生活しているありとあらゆる場所に生息しています。
小さな節足動物なので、普段その存在を感じることはないものの、犬にダニが付いてしまうと、あらゆる症状が出ます。

ダニの大きさは砂一粒と同じような大きさの小さなものや、ゴマ粒ほどの大きさのものなど、さまざまなサイズがあります。
クモ網に属していて脚は8本あり、触覚はありません。

日本で現在確認されているダニの種類は2000種類以上とされており、あらゆる場所に生息しています。
犬に問題を起こすのはごく一部のダニと言われておりますが、咬まれてしまった時にどうすればよいのか、病気や、予防の方法などを飼い主が事前に知っておくと安心です。

・【ダニの種類別】咬まれた場合の症状

犬を咬むダニは、マダニやイヌセンコウヒゼンダニ、イヌミミヒゼンダニ、ニキビダニなどがいます。犬がダニに咬まれた場合に起きる症状について、ダニの種類別にご紹介します。

マダニ
マダニは、草むらややぶ、公園、河原など緑がある場所で犬に寄生する可能性の高いダニです。
活動は春から夏とされているものの、種類によっては季節を問わず活動することもあるため、一年を通して注意が必要です。
吸血することで成長し、吸血前でも3~8mm程度あり、肉眼でも確認ができるサイズです。
吸血後は1~2cmくらいの、黒い血豆のような形で確認できるでしょう。

吸血することで皮膚に痒みや痛みが起きます。
また、ライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの病気を人間に媒介してしまいます。
特に重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は最近発見され、人間に感染すると致死率が高い病気のため注意が必要です。

イヌセンコウヒゼンダニ
疥癬(かいせん)という皮膚病を引き起こすダニで、吸血はしないものの、皮膚にトンネルを掘って寄生することから、強い痒みや炎症があります。
犬の顔やお腹、耳、肘、膝などの被毛の少ない部分を好み、咬まれると脱毛やかさぶたができます。人にも一時的に感染し、一時的に皮膚に同じような痒みの症状を引き起こします。

イヌミミヒゼンダニ
犬耳に寄生することが多いダニで、耳に強い痒みを感じます。
そのため犬が前足で耳を掻いたり、頭を振るなどの行動で気付くこともあるでしょう。
外耳炎を引き起こす原因にもなります。
ほとんどは耳に寄生しますが、稀に耳以外の場所にも寄生します。

ニキビダニ
普段から犬の皮膚の毛穴の中に常在しているダニで、皮脂や垢をエサとして生息しています。免疫が弱まったり、全身の状態が悪化した時などに異常繁殖して皮膚病を引き起こします。
足や顔などが脱毛しますが、ほとんどの場合痒みはありません。犬に寄生するニキビダニは感染する動物種が限られており、人間には感染しません。

マダニが引き起こす病気は ?

ダニに咬まれると、ダニの唾液がアレルゲンになり、アレルギーを引き起こすことがあります。
ダニによって引き起こされる病気をご紹介します。

犬バベシア症
バベシア原虫が犬の赤血球に寄生して発症します。
赤血球が破壊され、貧血の症状を引き起こします。
発熱や黄疸、食欲不振などが起き、場合によっては死に至ることもあります。
人間への感染は確認されていません。
西日本で多く発見されていましたが、最近では東日本でも発生しています。
普段からデンタルケアをしているにも関わらず口臭がする場合には、犬の歯を乾いたタオルで拭いてみてください。
タオルが臭くなければ、胃腸から来るにおいの可能性が高くなります。

ライム熱
ボレリア菌が原因で発症する、犬にも人間にも感染する人獣共通感染症です。
犬が発症した場合、症状が現れないこともありますが、神経症状や発熱、食欲不振などが見られることもあります。
人間の初期症状としては、遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)が現れ、神経症状、皮膚症状、関節炎などの症状に進んでいきます。

Q熱
犬に感染してもほとんど症状が現れない病気です。しかし、コクシエラと呼ばれるリケッチアに人間が感染すると、インフルエンザのような激しい頭痛や高熱などの症状が現れます。
犬猫はマダニが媒介して感染することもありますが、人間は吸引により感染することが多いです。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSウイルスがマダニを媒介して人間に感染すると、非常に危険な重症熱性血小板減少症候群という病気を引き起こします。
致死率は日本では約20%程度といわれています。
マダニの吸血から6~14日後に発症するため、犬からマダニを除去した後も1~2週間は体調に変化がないか様子を見るようにしましょう。
症状としては発熱、食欲低下、嘔吐、下痢、筋肉痛、腹痛、神経症状、出血症状、リンパ節腫脹、白血球減少、血小板減少、肝酵素上昇などが現れます。

ダニは予防できる?

基本的には、マダニは寄生してから吸血開始まで、およそ1日程度かかりますので、散歩後のブラッシングで噛まれるのをある程度防ぐことができます。
また、ダニ予防薬をしっかり与えておくことで、より噛まれるのを防ぐ効果が高まります。完全に噛まれることを予防することは難しいのですが、感染までに数時間かかるともいわれていますので、感染予防効果はあると思います。
そのほか、シャンプー、ブラッシングなどのお手入れでも大事です。犬の体で増殖しないよう、月1~2回ほどシャンプーをして対策をしましょう。

予防薬は、犬の背中に垂らすスポットタイプや、おやつのように食べられるチュアブルタイプ、錠剤などがあります。
チュアブルタイプは吸血されないと虫に対する駆除効果が発揮されないため、噛まれることを防ぐことはできません。
市販ではスポットタイプが主に販売されています。
動物病院ではスポットタイプのほか、すべてのタイプの予防薬を購入することができます。

犬についたダニを見つけるには?

犬にダニがついていないか確認するために、炎症していないか、犬の体を手で触って出っ張りやしこりがあるか探してみましょう。
吸血した後のダニは膨れ上がって小豆ほどの大きさになっているため目視で確認が可能です。ただし、巨大化してイボのようになるため、ダニだと気づかないこともありますので、注意が必要です。また、幼ダニや吸血前のダニは小さく気付きにくいので、よく観察するようにしましょう。

ダニは湿気の多い場所を好みます。
生息しやすい箇所は、鼻やひじ、わきの周りや、首輪の下、尻尾の内側、内股、足指の周りやまぶた、耳などです。被毛の少ない場所や、湿気がこもりやすい場所は注意して確認するとよいでしょう。




ダニを見つけた場合の駆除方法

ダニを見つけたら、慌てずに動物病院に相談しましょう。ダニを無理に駆除しようとすると、ダニの頭口部分が皮膚を噛んだ状態で取り残してしまう可能性があります。

夜間など、どうしても動物病院に行けない場合のために、自分で取り除く方法もご紹介します。
以下の手順で注意深く取り除きましょう。

先端の細いピンセットを使い、皮膚の表面に近いところでダニを掴みます。
この時にダニをつぶしたり、ねじったりしないよう注意してください。
均等に力を加えるようにしながら、上に引き上げましょう。
ダニの口部分が破壊されてしまうと、犬の皮膚に残ってしまうこともあります。

もしダニの口部分が犬の皮膚に残ってしまった時には、ピンセットで口の部分を取り除きます。取り除くのが難しい時には、皮膚が自然に治るまで触れないでおきましょう。
取り除いたら、ダニに咬まれた部分の皮膚を消毒用のアルコールやヨードチンキ、石鹸で洗い流します。
自分の手も同様に洗い流しておきましょう。
取り除いたダニを指で押しつぶすのはNGです。
たとえ取り除いたとしても、感染する恐れがあります。

感染や病気の症状がでないか、犬はもちろん人間への影響も考え、数日間は皮膚や体調などを注意深く見守りましょう。

自分で取り除く時も、念のためダニの写真を撮っておき、なるべく早く動物病院に相談しましょう。


まとめ

犬のダニについてご紹介しました。ダニに咬まれても痒みや炎症を起こすだけ、と簡単に考えがちですが、重大な病気や感染症を発症する可能性もあります。
また、犬に付いたダニが媒介となり人間へ感染し、致死率の高い病気を発症することもあります。
散歩の後、毎日ブラッシングをすることや、月数回のシャンプーで清潔な皮膚を保つようにしましょう。
ダニ予防薬もあるため、動物病院に相談をし、ダニ対策をするようにしましょう。


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