【獣医師監修】犬の息が荒い・呼吸が早い場合に考えられる原因と対処法

2026年6月12日

犬の息が荒い、呼吸が早いという場合には、どのような原因が考えられるのでしょうか。
生理現象ではなく、病気が原因で息を荒くしていることもあるためです。
本記事では、犬の息が荒くなる原因や病気、その症状やかかりやすい犬種についてご紹介します。


犬の息が荒い・呼吸が早い基準 犬がよく「ハアハア」と荒く呼吸していることがあります。
犬だから当然、と感じるかもしれませんが、場合によっては問題が潜んでいる場合もあります。
どれくらいの呼吸だと早いとされるのか、基準について知っておきましょう。

正常時の犬の呼吸数はどれくらい? 犬の場合、1分間に10~35回程度の呼吸が正常な呼吸数とされています。
安静時は、口は閉じている状態で鼻呼吸をしていますが、活動時には口呼吸も行います。
大型犬に比べ、小型犬は呼吸数が多くなる傾向にあります。これは肺の大きさによるものです。短頭種(パグ、チワワ、フレンチ・ブルドッグなど)も、気管や鼻孔が狭いため呼吸数が多い犬種です。
また、老犬になり体力が落ちることで、呼吸が荒くなることもあります。

犬の呼吸数の測り方とは 犬の呼吸数を測るタイミングとしておすすめなのは、寝ている時です。
普段の安静時の呼吸数を把握しておけば、異常に増えた場合などに気付きやすくなるでしょう。じっとして動いていない時に計るのもよいでしょう。
犬の胸やお腹が上下に動く回数を計測します。長毛種の犬種の場合は、上下に動いているかどうか分かりづらいかもしれません。その場合には、犬の鼻の前に鏡を置き、鏡が息によって白く曇る回数を数えるとよいでしょう。
15秒間の呼吸の回数を4倍にすれば、1分間の呼吸数を把握することができます。


犬の息が荒い・呼吸が早い原因 なぜ犬の息が荒くなったり、呼吸が早くなってしまうのでしょうか。いくつかの原因についてご紹介します。

運動をした後 人間は運動をした後に呼吸が早くなりますが、犬も同様に運動後に呼吸が早くなります。
原因は同じで、運動によって消費された酸素を早く補給するために、呼吸が荒く、早くなります。

体温調節のため 汗をかくことのない犬は、呼吸をすることで体温調節を行っています。
これは生理現象として行っているため問題はありません。安静にしていれば呼吸の早さは治まり、正常に戻ります。
夏には熱中症のリスクがあるので、暑そうにしている場合は、涼しい環境を整えてあげてください。自宅では、予防的に涼しくしておくと良いでしょう。

ストレスによるもの 不安や緊張、興奮などの精神的ストレスがかかると、交感神経が優位になり呼吸が早くなります。
時間が経ち落ち着いたり、ストレスの原因がなくなれば正常に戻ります。

異物の誤飲 異物を誤飲して食道や喉に詰まると、パンティングや体全体で呼吸することがあります。すぐに動物病院で診察を受けましょう。

ケガによる痛み ケガをして、痛みがある場合でも呼吸が早くなることがあります。

呼吸器の異常 呼吸器疾患や循環器疾患などの異常によって、呼吸が早くなることがあります。
病院で診察を受けるようにしましょう。特に心臓が悪いわんちゃんの呼吸が早い場合は、命に関わる可能性があるため、早急に動物病院を受診しましょう。


犬の息が荒い・呼吸が早い場合に考えられる病気 犬の息が荒い、呼吸が早い場合には、病気が潜んでいることも考えられます。考えられる病気をご紹介しますので、疑われる場合には動物病院で診察を受けましょう。

呼吸器の病気 呼吸が速くなる呼吸器の病気には以下のようなものがあります。
・気管支炎
・肺炎
・気管虚脱・気管支虚脱

それぞれの原因や症状について解説します。

気管支炎
ウイルス、寄生虫、誤飲、タバコやハウスダストなどの化学物質などが原因で、気管支が炎症を起こします。
元気がなくなり、食欲不振や咳などの症状が見られます。重症化すると、呼吸困難に陥ることもあります。

肺炎
肺の中にある肺胞や、その周辺が炎症を起こす感染症です。
細菌感染やウイルスが原因として引き起こされる場合が多くありますが、寄生虫や刺激性の薬物やガスによって起こることもあります。
鼻水や咳が止まらない、逆に咳が出せず苦しくて震えるなどの症状が出ることがあります。重症化するとパンティングや呼吸困難となり、生命維持に支障をきたすこともあります。

気管虚脱・気管支虚脱
気管、気管支が潰れて空気の通りが悪くなると、パンティングや呼吸困難を起こします。
先天的に気管の軟骨が弱かったり、発育異常や肥満、加齢などによって、周囲の筋肉が弱くなることでも起こります。
発症しやすいのは小型犬で、チワワやプードル、ヨークシャーテリア、ポメラニアン、マルチーズなどです。また、7~8歳くらいの中高齢犬も注意が必要でしょう。


心臓の病気 心臓の病気によって、呼吸が荒くなることもあります。以下のような病気が原因となることもあるでしょう。
・心筋症
・僧帽弁閉鎖不全症(肺水腫)

それぞれの症状や原因について解説します。

心筋症
心臓は、筋肉を収縮させることで血液を全身に送り出しています。心臓自体も筋肉からできていますが、その筋肉である心筋に異常が起こり、心臓の機能が低下してしまうのが、心筋症です。
心筋症が起こると、酸素を含んだ血液を上手に体内に循環できなくなるため、体内の酸素が不足します。この影響で息が荒くなったり、呼吸数が増えるのです。
心筋症の原因は残念ながら解明されていません。

僧帽弁閉鎖不全症(肺水腫)
犬の心臓病で最も多いのが僧帽弁閉鎖不全症です。
心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁が変形してしまい、閉じなくなることで血液が逆流します。早期の場合には無症状なので、気付くのが遅れることが多くあります。
病気が進行すると、興奮時や運動時に咳の症状が出ます。悪化すると疲れやすくなります。
高齢の小型犬に出やすい病気で、疲れやすさも高齢によるものかと見逃しがちです。チワワ、ポメラニアン、プードル、ペキニーズ、パピヨン、シーズー、マルチーズ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどによく見られます。

心臓機能の低下が進行すると、血液循環の悪化により肺の中に水分が溜まってしまい、呼吸困難を引き起こします。
この状態を肺水腫と呼び、首を伸ばして前肢を突っ張らせた状態で座ることもありますので、見逃さないようにしましょう。


熱中症 熱中症は高温多湿な環境で、体内の水分や塩分を失い、体温調節がうまくできなくなった時に発症します。
体温が上昇し、心臓から臓器、組織に十分な血液の循環ができなくなり、脳や組織が酸欠となります。
犬は肉球にのみ汗腺があり、全身で汗をかくことができないため体温調節が難しく、熱中症になりやすい動物です。夏などの暑い時期は特に注意が必要です。脱水症状になると水をよく飲むこともあります。サインを見逃さないようにしましょう。
熱中症は軽度では呼吸が早くなり、よだれをたくさん垂らします。
中度になると嘔吐や下痢、ふらつきなども見られるでしょう。重度の場合には痙攣や意識障害がみられます。これらの症状が出た場合は、すぐに動物病院で処置してもらいましょう。


犬の呼吸が苦しそうな場合の応急処置は? 犬が苦しそうに呼吸をしている場合には、無理に体を動かさないようにしましょう。
うつ伏せは犬が最も呼吸しやすい姿勢とされていますが、わんちゃんは自分で楽な姿勢をとっていることが多いので、無理に動かすと悪化することがあります。
顎の下に枕やタオルを置いてあげると、楽に呼吸できることもあります。
仰向けや横向きは肺を圧迫するためおすすめしませんが、胸の下が痛い場合には横向きの方がよい場合もあります。
夏の屋外なら涼しい室内に移動させてあげましょう。室内の場合は、肌寒い程度に温度を下げてあげましょう。
明らかに様子がおかしい場合は早急に動物病院に相談・受診をしてください。


こんな症状が見られたらすぐに病院を受診 荒く呼吸していても、一時的なものですぐに戻ることもあります。しかし以下のような症状がみられる場合には、すぐに動物病院を受診したほうがよいでしょう。

・胸郭や肩を大きく動かして、努力的に呼吸を行っている(努力呼吸)
・咳が続く
・伏せることができない
・上を向いて呼吸している
・舌の色が、紫や青色になっている
・歯茎、頬の内側の粘膜が白っぽい


まとめ 犬の息が荒かったり、呼吸が早い場合に考えられる原因や、潜んでいる病気についてご紹介しました。
体温調節のために呼吸が早くなることもあり、これは生理現象のため問題はありません。
しかし、犬だから息が荒くて当然、と放置しておくと、病気に気付くのが遅れてしまい、症状が悪化する可能性もあります。病気ごとの症状や、かかりやすい犬種をご紹介しましたので、病気の可能性がある場合には動物病院で診察を受けるようにしましょう。
また、正常時の呼吸数を把握しておき、呼吸数が異常に多い場合には早めに気付き対処することが大切です。


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